使用借権・定期借地権・借地権の違い

08/09/22 12:45:午後

▷本日のテーマと内容: 「使用借権・定期借地権・借地権の違い」

不動産鑑定士の入村です。

ご質問が多い土地利用権である使用借権・定期借地権・借地権の違いをご説明します。

一覧表をご覧頂きまして使用借権・定期借地権・借地権の整理をしたいと思います。

①使用借権・定期借地権・借地権の例 00:16

 使用借権はよく親子間で見られ、親の持っている土地に子供が家を建てて土地を使っているケースが典型的な例になります。

 定期借地権は借地期間が終わると借地権が終了する借地権であり、定期借地権住宅やロードサイドの商業施設や店舗に設定されることが多いです。

 借地権は旧法の借地権、新法の借地借家法の借地権があります。スライド表中の【法】と【旧法】の箇所を見てください。

②地代は有償又は無償 00:59

 使用借権は、基本的に無償、定期借地権と借地権は地代が発生して有償です。

③存続期間の相違 01:15

 使用借権は返還期間を定めていなかった時には使用収益が終了した時点で終わることになります。

 一方、定期借地権と借地権につきましては、それぞれ存続期間の年数がありますのでスライドを確認してご注意頂ければと思います。

④相続対象になるか? 01:43

 相続の対象になるのか、ならないのかは非常に多い質問です。使用借権は相続の対象にはなりません。裁判案件では評価の対象になったりしますが、相続の場合には使用借権は評価の対象にならず価値がないとの扱いにご注意ください。

 一方、定期借地権、借地権は相続人が承継して相続の対象となります。

③契約更新の有無 02:20

 契約更新は使用借権も合意して更新すれば更新となります。

 定期借地権には更新はありません。但し、実務上再契約という形で新たに定期的に借地権を設定するケースは良くあります。

 借地権には法定更新と当事者の合意更新があるためにほぼ更新する力が強いことが特徴になっています。

④譲渡や転貸は可能か? 02:59

 使用借権は基本的には弱い権利のために転貸や譲渡は基本的にありません。

 一方、定期借地権と借地権は譲渡や転貸が可能ではありますが両方とも賃借権の場合は地主の承諾が必要になります。

⑤建物取壊しの扱い 03:20

 使用借権は使用している借受人が取壊しすることになります。

 定期借地権は定期借地人が収去・撤去(建物買取請求は行使不可能)することになります。

 借地権は借地借家法や借家法等で建物買取請求の行使が認められています。

 これらの特徴を抑えまして利用や将来価値を考えて頂ければと思います。

⑥権利の強弱 04:08

 権利の強さは借地権の価値が高くて、次に期間が短い定期借地権、その次に使用借権の権利が弱くなります。借地権>定期借地権>使用借権の順番に権利が弱くなります。

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