不動産調査報告書の見方をおしえてください!
05/26/22 11:04:午前
▷本日のテーマと内容:「不動産調査報告書の見方をおしえてください!」
不動産鑑定士の作成する不動産調査報告書を内容を公開し、見方を解説してゆきます!
【目次】
00:00①不動産調査報告書の位置づけ
00:47②求める価格は内部的な調査価格
02:23③鑑定評価と価格調査の相違
不動産鑑定士の入村です。
不動産調査報告書の見方と内容の説明をさせていただきます。
①不動産調査報告書の位置づけ
不動産鑑定士は基本的に不動産鑑定評価の法律に基づく不動産鑑定評価書を作成することがベースになっていますが、近年の依頼の多様なニーズに応えるために不動産鑑定評価書程の内容と説得力はいらないが結論が欲しいとか、簡易な仕様で良いとのことで費用面において割安なものを望まれることが出てきましたのでそのような時に発行します。
②求める価格は内部的な調査価格
見本を合わせて見ていただきたいのですが、不動産調査報告書と今回は架空のオフィスビルをイメージにした調査報告書になります。
不動産調査報告書で結論が鑑定評価額でなくて調査価格という表記をしています。これは不動産鑑定評価に関する法律の鑑定評価額ではないと区別を付ける意味で調査価格になっています。
調査価格の表示の下に注釈が付いていて不動産鑑定評価書が対外的にいろんなことに対して使えますが、調査報告書は(内部的な)簡易な評価になっています。
色々条件を付けているケースが多く、基本的に鑑定評価基準の手順を省略していることや則っていない様式のために鑑定評価書と少し違うということを書いてあり、場合によっては精密な鑑定評価書と調査報告書の価格は結果が異なる可能性もあります。一致することが多いですが異なる場合もあることも留意していただきたいと思います。基本的には(内部利用に留めて)第三者への開示はあまりしないで欲しい書類が調査報告書となります。
③鑑定評価と価格調査の相違
依頼目的ですがこれは売買の参考ですが、この調査価格自体、鑑定評価書のように対外的に色々な方に説得力等を担保しなくて良いために依頼者の内部における使用にとどまるので不動産調査報告書という形にしているということを明確にしています。これは価格調査のガイドラインがあり、不動産鑑定評価に関する法律とは違うガイドラインに基づいて鑑定基準に則らない価格調査をしている形になります。
不動産評価鑑定基準の鑑定評価書と何が違って調査報告書になっているのかですが、こちらについては調査のレベルが少し簡易であるということ、土壌汚染やアスベストのリスクについては考慮外にし、参考価格のために出していることです。このような査定をしても依頼者の内部資料であるから相違点は社会通念上、合理的であるという構成であることです。
調査の手順が不動産鑑定評価基準とどのように相違しているのかを述べてゆきます。
対象不動産の表示になります。ここは鑑定評価とほぼ同じですが、いつ時点の評価をしているのか、その報告書の価格調査を行った日がいつ時点なのかを見ます。
今回は鑑定評価基準の評価じゃないので、正常価格という名称等を使っていません。次に対象不動産の確認事項です。
一般的要因の分析という行政的条件とか経済条件の把握を不動産鑑定評価で行いますが、こちらの調査報告書で割愛して、地域分析と対象不動産の個別分析を鑑定評価書よりも分析ボリュームを圧縮して評価しています。2~3ページ位で終わっていますが、その中でこの建物と敷地の最も妥当な使用方法は店舗付事務所ビルです。分析も簡易でやっているという形になります。
どういう風に評価していくかについて原価法と収益還元法という価格の手法を使っています。後ろの試算表で計算していますが、結論としては鑑定評価書の場合、価格試算において1~2ページにわたってその価格はどうなのかを検証しますが、こちらは収益物件は収益性を重視するのだからという簡易な理由付けによって、収益価格を重視して積算価格を参考程度に留めて、調査価格を決定したという簡潔な終わりになっています。
後ろに写真や試算表がありますが、試算表も簡易な様式になっています。この17ページで表が終わり、添付資料が付きます。添付資料は法務局の資料や地図、物件評価をした時に採用した役所の資料等を添付して完成します。
不動産鑑定評価書から比べるとボリュームが非常に軽くなっているので参考とか、目安で評価を取られる時には調査報告書の活用もお勧めします。
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